一週間分のエネルギーを消耗する


一ヶ月前に駅前に停めておいた自転車が無くなって、
てっきり盗まれていたものと思い込んでいたら、
実は撤去されていたという事を知らせる旨の葉書が届いた。
今日までに取りに行かないと処分されてしまうとの事で、
バスに乗って取りに行く。
私の実家周辺では撤去されても撤去費用が千円なのに対し、
ここは三千円もするらしい。
シビアだな東京。
全く見知らぬ自転車集積所から、地図を見ながら自宅まで行く。
今日は気温が30度近くまで上がって暖かかったというか、暑かったので、
坂道の多いこの地を、適当に、
「あっち方面に向かっていけばいいだろう」
というそれだけで気の向くまま風の向くまま自転車を走らせた。
相当気持ちよかった。


それから、夫の携帯電話を解約しに新宿まで行く。
解約してやった。
大金を払う。まぁ私のお金ではないが。
電話代に、必要以上のお金を払う事は本当に無駄な事だと実感する。


それから、せっかく出てきたしすぐに家に帰るのも勿体無いしどうしようかなーー、
と信号待ちしている所で、ばったり夫の乗る車に出くわす。
本当にばったり。
気付いたのはこっちだけで、あちらはすーっと通りすぎていってしまったが。
即刻電話して、その旨伝えて夫を追いかける。文字通り追っかける。
同時進行で高校の友人に
「何してるのー会いたいよー」
とメールする。
彼女が二時間後に上京するというので会う約束をして、
私は夫の下へ。
夫と二人でインターネットカフェへ行く。
なんか色々話す。
二人で向き合っている時よりも
お互いにそれぞれPCに向かい合ってるからなのか、
結構本音をぶつけ合う、そうして概して気分が良くなる。
夫は私を置いて出掛け、私はそのままネットカフェ続行で友人を待つ。


とにかく私がどこに居るか確実に知っていないと収まらない彼。
友達が来るまでここでじっと待ってろという命令と共に去っていった。
鳥篭の鳥みたいだ。
それからしばらくして友人がやってくる。
二人で再び夫と落ち合って、久しぶりーなんて少し話してみたりする。


何を隠そうこの友人、
我が家の一人用の狭いベットで、友人・私・夫の三人で眠った仲である。
しかも二回も。
だから他の友人勢よりも夫は彼女に親近感を抱いているのである。
仲良く三人で話して、
友人と二人、我らは世界堂でスケッチブックを購入し、
そしてドトールする。
友人に次の予定があったので、タイムリミットがあり、
割と慌しい感があったのだが、友人の友人がなかなか仕事が終わらないようで、
待ち合わせ時間が当初の予定より一時間延びた。
我らのランデブーもそれによって延長された。


友人が翌日朝、早朝まで飲んだくれた後
そのまま我が家に来てくれると言ってくれたので、
我は友人と別れた後、自宅近くのスーパーで、
友人に手料理を振舞うべく、買い物に精を出す。
そして寝ずに家を掃除して、料理を作って、
風呂に入ったりして友人の訪問を心待ちにする。


朝七時、家のインターフォンが鳴った。
友人到着である。
それから、手料理を食べたり、今日の予定を二人で話したりして決める。
とその二時間後に夫帰宅。
三人で、私達の馴れ初め話などを今更する。
夫はまるで私が積極的に彼にアタックしたような事を、
一人芝居を交えながら、ややコミカルに友人に説明していたが、
まるでそれが嘘っぱちだったので、私が軽くキレ気味に抗議すると、
彼も軽くキレ気味になる。
こういった場合でも、彼の言うがままに受け入れて、
夫を立てるべきだったのか?
いや、私は事実を曲げる事はいくらなんでも出来ません。


夫が眠りについて、
私達は、宇多田ヒカルを聴きながら、
メイクアップ大会を開催する。


時々我が家で開催されるメイクアップ大会であるが、
平時は参加者ならびに観客は私一人であるので、
今日は腕の振るい甲斐がある。
私は友人の、友人は私の顔を造った。
お互い自らでは使わないような色をつけて盛り上がる。
私の友人は、いつもはいたってナチュラルな化粧をしてらっしゃるが、
私の造った顔は、
「六本木のクラブにいそうなお姉さん」
である。
まぶたを思いっきり水色と青色で塗りたくった。
見慣れない彼女の顔であったが、かなりアリな顔であった。
それから約12時間。
彼女と別れるまで、いちいちふと彼女の顔を見てはビックリする私であった。


いつもよりも力を入れてフルメイクして、
おまけに髪の毛もバッチリセットして、
近所のカラオケに行く。
ちなみに私の友人に施した髪型は、
「セクシー杉本彩
である。
いつもは鎖骨よりも長めの髪を、顔の真ん中で分けている友人だったが、
今日は出来るだけその前髪を左側から右側へ流してみた。
「風に当たる時も、顔の左側から当たるように」
と忠告をした。


近所のカラオケ如きにここまで頑張れる私達が可愛い。


ちょうどうちには、撤去されて戻ってきた自転車と、
盗まれたと思っていた期間に夫が買ってくれた自転車と、
二台あったので、一台ずつチャリに乗り込み、
カラオケ前にサイクリングツアーを楽しむ。
気温が30度近かったので、冬の間美白化していたはずの(?)
我らの肌は、可哀相にも少々焼けてしまったが、
とっても気分が良かった。
それからはなまるうどんで昼食を取り、
カラオケに行く。
安いな〜〜二時から七時までのフリータイムで、一人千円だった。


それから我が家に帰ってくると夫はもう仕事に出掛けた後だった。
カラオケで五時間もエネルギー並びにストレスを発散したので腹が減った。
近所のスーパーに二人で歩きながら、
今日の夕食の献立を考えた。
私のリクエストで、餃子を作る事に決定した。
適当に買い物をして、我が家に帰って仕度に入る。
餃子25個をせっせと二人で作る。
スーパーで買った中トロと納豆巻きとビールを横目に、
我慢して我慢して、餃子が焼きあがるのを待つ。
餃子を焼き上げる時に小麦粉入りの水を入れたことによって、
餃子は素晴らしい焼き上がりになった!
素晴らしく焼き上がった餃子は太陽の下燦燦と咲き開いた向日葵のようだった。
フライパンから大き目の皿に餃子を盛りつけた時なんかは、
二人で思わず悲鳴とも非ならぬ歓喜の奇声が出た。
なんというか、自分達で言うのもなんだが百点満点である。


よだれが思わず出そうになるのを堪え、
これまた絶妙な炊き上がりをみせた白飯を茶碗によそい、
缶ビールと缶チューヒャイで乾杯をする。
さて、焼きあがりは最高だったが肝心の餃子のお味は・・・?
美味い!!
一口一口、モノを口に運ぶ度にいちいち「美味い」の言葉が出た。
こんなにモノを味わって食べたのは久しぶりであった。
料理は作るのも食べるのも複数人である方が断然美味いのも手伝って、
最高の夕食となった。


ここで友人、終電の時間が迫っていた為、
小走りで去って行った。
近いうちに再び会う事を約束して、
私は、彼女のやはりいつもと違う見慣れない顔を見ながら、見送った。


私は昨日の昼から始まったこの活動量を思い返しながら、
そのままベットにぶっ倒れて眠りに落ちた。


なんともまぁ充実した日であったことか。。。