桜満開

この三日間、春陽気の天気に満開の桜とくれば、
気分が良くないわけがなく、とても楽しげな日々を過ごしていた。
おまけに親友もとても気分が良さそうなのを見て、
ますます私も機嫌良くなるってもんだ。
急遽そんなノリでお花見を開催する事になった。
だって明日からは天気崩れるって話だし、散っちゃうもんね。
開催場所は去年も同じ面子でお花見をした埼玉県は某河原。
皆さん多忙期である事も考慮して、
幹事は今回の花見は夜桜にする事に決めた。


本日夜の花見を楽しみにしつつ、
昼過ぎには起きてオベントー作らなきゃなんて夢見心地で思いながら、
春のまどろみを満喫するべく、朝日が昇り、
私は部屋の窓を全開にして、
生ぬるい風を感じながらうつらうつらしていた正午、
高校の同級生からの電話で目が覚める。
3年の時に同じクラスだった同級生が昨日、癌で亡くなったとの一報だった。
正直、そこまで仲良くしていた子でなかったので、
感情的になるとかは無かったが、それから一日以上たった今も、
感傷的というよりは、放心状態といったほうが近いか。


とても天気が良かった昨日、桜満開の昨日、
そんな一日に彼女は亡くなった。
死んでしまいたいと思ってしまう時がある。
死んでしまえたらどんなに楽かと思ってしまう時がある。
でも、自ら死を選び命を絶つ人が大勢居るこの時代に、
不本意であっても、病魔に侵され死に逝った事にとても神聖なものを感じた。
矛盾しているだろうが。不謹慎ではあるが。

「死」という色汚いものを打ち消すくらい色淡い、穏やかな一日だったと思う。
彼女の温和さ、彼女の人柄を思い返すと、とても昨日が似合ってるな、と思った。
私の最期の日もそんな日であったら、と思った。