ショートケーキ


昨日は母親の誕生日でありました。
誕生日当日、本当は私は仕事を終えて実家に帰り、
母親にプレゼントを渡そうと計画していたのですが、
突然の友人からの呼び出しで、あっさり実家行きを諦める。
しかしながら今日明日と仕事が休みの私は、
今日中に実家へ行くことを念頭に置いて朝を迎える。
その旨を、仕事へ出際の彼に伝えると、
意外にも自分も行くとの返答。
夕方新宿で落ち合って、インド料理屋で一息つきながら、
それぞれの結婚観を爆論して、
実家へと向かうことにした。


お正月以来の我が家。
電車に揺られながら思うことは期待と不安。
今まで自分が親に対して、「これが今お付き合いしている人です。」
的に男性を家に連れて行ったことがなかったので、
親達のリアクションは未知数であった。
しかもお相手は日本人ではない。
突然すぎてショック死しないように、
電車に乗る前に家に電話を入れ、
「友達を連れて行くから、綺麗な格好しておいて。」
と一言母親にそれとなく匂わしておく。
駅に着き、途中の花屋で花束を彼の財布から購入。
家までの約10分間、ひたすらシュミレーションをする。
「オジャマシマス」
「オタンジョウビオメデトウゴザイマス」
の二文句を叩き込む。
これさえ覚えればとりあえず今日は失礼にあたらないのではないかと。


家に着き、玄関で私たちを出迎えた母親は、
「綺麗な格好しておいて。」という私の忠告は無視し、
ごくごくいつも家でいる格好をしていた。
あたふたしている。
リビングに入るも、父親の姿がみつからない。
どこからやってきたのか、
リビングに入ってきた父親は、
いつかこんな日が来る事を覚悟していました的な冷静さで、
彼に向かって「いらっしゃい」と笑顔で微笑んだ。


会話は意外にも弾んだ。
私の予想以上に年頃の子供を持つ親というのは
覚悟をしているらしかった。


兎にも角にも、彼も両親も今日はお互い親睦を深めるという名目で、
特につっこんだ話もせず、世界情勢やら国の話やら、
当り障りのない話をして、終わってみた。


彼が家族に会って、私のバックグラウンドを得たのと、
私自身、家族に彼と付き合ってる事を報告して、
なんとなく安心したというか、肩の荷が下りたというか。
親にはもしかするとなんとなく悩ましいことをしてしまったかな、
とか少し頭をよぎったりもしますが、
まぁいいです。
このまま生きます。


皆で食べたショートケーキを、
たぶんきっと一生忘れることはないだろうと思った。