絶望と希望


私の人生、そろそろ終りかなと思う。

今で充分幸せだ。

すぐそこに絶望が待っていると思うと死にたくなる。

人はなぜ人を欲しがるのか。

自分自身でも受け入れられないこの私を

誰かが受け入れてくれるはずがない。

ならばいいではないか。

絶望の底へと落ちる前にこの命を絶ってしまおうか。

灰色い私を受け入れてくれる人など居ない。

蝋燭の火を消すように、ふっとひと吹きして

私もその灯のように消えてしまいたい。



君は何も悪くないんだ

自分を責めないで、と彼は言う。

僕が君にもっと早く出会えてれば、

君にもっと早く会いに来ていればよかった、

僕が悪いんだと。

そう私に言う。

彼が私に優しく触れる度、

彼が私に優しく言葉をかける度、

その瞳の奥の陰を見つける度に

私は私を責める。

苦しくて息が出来なくて吐きそうなくらい

私は私を責める。



彼に私の全てを捧げられるのに、

この人以外他に何も欲しくないとそう思えるのに、

私の全てを受け入れてくれたのに、

ただ一つ、彼の未来を私が手に入れることはない。

近い将来、一緒にお金を貯めて中古車を買おう。

そしてその車で二人で一緒に日本中を旅しよう。

僕らは死ぬまで一緒だ。

世界の果てと果てに居ても、君に会いに行くよ。

たとえ僕が他の誰かと結婚しても君の事は忘れない、

僕らはずっと一緒だよ。



彼と私が一緒になれない事を思って、

涙が零れた。

これ以上ないと思えた人に、

ずっと一緒だよ

という最高の言葉を贈られたのに、

彼の隣に将来、他の人が居る事を思って、

涙が零れた。

彼が私の瞳を見つめる。

君も哀しいんだね

その言葉で彼も望んでいるものを手に入れる事が出来ない

どうしようもない現実に、

苦しめられている事を悟った。



全て、私の非である。

しかしそれさえも彼は自分の責任だ、

僕がもっと早く君に会いに来ていれば

と言うのだから私は私を責める以外

他に何も出来ない。



彼が私の傷口を優しく触れる度、

その優しさが傷口に沁み入る度、

その傷口が塞がれば塞がる程、

私は私を責める。

傷は癒えても消えることはない。

この傷のせいで私たちは一緒になる事は出来ないんだと。

この矛盾にこれ以上、残酷な事が無い事を願う。

いっそ、この傷が癒える前に

化膿してそこから死んでしまった方がいいのではないか

とさえ思う。



愛しい人。

私は君を裏切らないよ。

君とこの世界でただ二人だけで出会えてたら・・・