男の話


この前ある施設に夫と二人行ったんですが、
待ち時間的なものが二時間ほどあって、
喫煙者である私たちは、入り口外にある喫煙エリアと、屋内にある待合室とを行ったり来たりする二時間。
ある時、夫がふとトイレかなんか行ってて一瞬離れ離れになった時に、
私が喫煙エリアにゆこうと歩いていたら、すれ違いざまに私にプリティーだね、と
囁いてきたヘンな男が一人いた。
私が毅然とした態度で、不快感を露わにするものの相手はニヤニヤして去っていった。
トイレから戻ってきた夫にそのことを伝えると、
1ミリたりとも動揺の様子を見せず、私にそのような事を言った男の顔が見てみたい、
とだけいうので、どうしようか迷ったけど屋内を二人でうろついて、その男を探し出す。
探し出した瞬間、見てみたいだけと言っていた夫は颯爽と私の下を去ってその男の下へ猪突猛進。
その男の前に立ちはだかると二人は私の方を見ながらニ、三やりとりしている。
と、突然夫が男のムナグラ掴んで映画で観るみたいに男を右手で持ち上げた。
明らかに男は怯えている。
男は「クレイジーだね、というよりプリティーと言う方がいいだろ」とかなんとか言ってるみたいだ。
女なら誰もがすれ違いざまに可愛いと言われたら喜ぶとでも思っているのか。
明らかにお前がクレイジーだよね、と言ってやりたかった。
夫が猫の首を掴むようにその男の首元を掴んで私の下へ二人がやってくる。
俺と妻にも謝れ、と言っている。
男はごめんなさいと言いながら手を差し伸べてきたからその汚れた手に触れることすら拒否した。
男はこうあるべきだよね、と夫に尊敬の念を抱いた。
あたしって、所有されたいんだろうか。すごく快感だったんだけど。
いや、女子だったら誰でも嬉しいよね。